これでわかる決算に際して投資家が備えるべき基本

こんな時間に決算の発表かよ

株価を大きく左右するイベント、それが上場企業には四半期(3か月)ごとに開示が義務付けられている決算です。普段はおとなしい銘柄でも決算直後は大きく上下することは珍しくありません。

大雑把にいうと「よい」決算が出れば株価は上向くのですが、この「よい」という意味がやっかいです。決算は、これから述べる大まかな傾向を知っておくのとそうでないのとでは大きく異なりますのでご注意ください。

見るべきは連結決算

原則として決算においては単独・単体決算よりも連結決算に注目します。連結決算とは、その企業の子会社や関連会社も含めた決算のことです。

かつての日本では親会社の単独決算が重視されていたため、親会社と子会社の間のやり取りによって利益が操作されていました。しかし、その後、欧米市場の影響を受けて連結決算が主流となりました。連結決算ではグループ会社間の取引や利益は消去されます。

これでわかる決算に際して投資家が備えるべき基本

 

親子上場はいろいろ深い論点なのかも。

ちなみに日本では親子上場といって、親会社の上場に加えて子会社も上場している例が散見されます(wikiの親子上場ページにリンク)。たとえばNTTグループにおいては、本体の日本電信電話に加えてドコモとデータと都市開発が上場しています。

親会社は子会社を上場させその子会社株式を売り出せば大きな資金を調達できるというメリットがあります。

しかし、子会社の筆頭株主は親会社であり、子会社の経営においては筆頭株主以外の意見が反映されにくいという声があるため、現代では減少傾向にあります。

決算を予想しよう

さて決算においては、いかなる決算が出そうなのか証券会社や経済紙・専門家の予想情報を調べます。さらに企業側がいかなる業績予想をしているか、そしてそれらの情報が過去にどれくらいの確率で当たっているかどうかを調べます。

このとき企業によっては控えめな予想をする企業もあれば強気な予想を出す企業もあるので、企業の予想傾向をつかむべきです。

たとえば、輸出系の大企業だと為替が1円変動しただけで数十億円以上も利益が変わりますので、そういう企業は業績の下方修正によって大勢の株主をがっかりさせないように控えめな予想をする傾向があります。

これでわかる決算に際して投資家が備えるべき基本

 

新興企業の中には強気の予想を出すところもあるよ。

期待を超える決算か

一般に企業の従業員は自社の決算が増収増益で、それによって経営が安定し自分の賃金が上がれば喜ばしいでしょう。投資家としても売上と営業利益(業種によっては経常利益)の良し悪し(前期比増減率)を見るのは基本です。

しかし、株式投資家は決算の評価を数字の大きい小さいではなく「期待以上のものか否か」で判断する傾向にあります。

スポーツの世界でも大して期待されていない選手がちょっとした活躍を見せると褒められる一方で、もともと大きく期待されている選手がそれと同じ水準の活躍をしても褒められないどころか酷評されることがあるでしょう。会社の決算もそれと似たようなもので、事前にどの程度期待されているかが重要なのです。

したがって、期待が大きかった企業はその期待を超える決算を出さなければ株価は厳しいことになりますし、大して期待されていなかった企業が標準レベルの決算を出した場合はむしろ株価が上がることもあるのです。

具体的には決算直前まで株価やコンセンサス予想(=複数のアナリストによる決算予想)が上がっていれば期待のハードルは高いといえるでしょう。

業績予想でも「将来」が重要

ここで強調すべきは業績予想でも「将来」が重要だということです。たとえば、今が2019年5月だとして、ある企業から2019年3月期通期決算の営業利益が前年比70%増で確定したと同時に、2020年3月期通期決算の営業利益が2019年3月期に比べて30%減る見通しだと発表されたらどう思いますか。

2019年3月期の決算は営業利益70%増と非常に素晴らしいですが、近い将来30%も減ると予想されたら失望しませんか。

株価を左右する要素は他にもあるので絶対とはいえませんが、その決算と見通しだけを見ると翌日の株価は大幅に下落する可能性が高いです。

これでわかる決算に際して投資家が備えるべき基本

 

来期の業績予想が出るとしたら通期決算のときだけど
それを出さない企業もある。

株価は将来を織り込もうとする先行指標なので、それまでの業績がよかったとしても将来に対する悪い予想は失望されやすいからです。なお企業は、自社の来期の業績予想について出す場合と出さない場合がありますので、四半期ごとに過去のパターンをチェックしてみるとよいでしょう。

上方修正

決算に際して上方修正が出されると株価の上昇が期待できます。上方修正とは、それまで予想されていた当期の通期業績の数値を引き上げることを意味します。下方修正はその逆です。上方修正は、年に4回ある四半期決算の中でも後半に出ることが多いです。

上方修正は進捗率という通期の業績予想に対する1四半期ごとの利益達成率を見ることで多少は予想できます。すなわち四半期は通期の25%ですから、たとえば第2四半期の時点で70%という進捗率が出ていれば上方修正が出る可能性は高まるわけです。

ところが、企業によっては季節変動や納期の偏りなどによって進捗率を25%ごとに均等に考慮すればよいとは限らないパターンがかなりあります。そういう企業の場合は前年度のデータなどから進捗率の偏りを考慮する必要があります。

決算は自然現象から多少予想できる部分もある

また鉄道業や観光業などでは基本的に天気がよいほど多くの集客と売上が見込めますので、天気が芳しくないと決算に悪影響が出るかもしれない点に注意です。この点、室内レジャーの運営会社だと逆に悪天候の方が儲かるという場合もあります。

このように自然現象や企業特有の性質も考慮しながら決算を予想することも株式投資の楽しみの一つだといえるかもしれません。

決算またぎはギャンブルか

決算をまたぐ形で株式を保有することが巷では「決算ギャンブル」と呼ばれるのも、決算はさまざまなデータから推測できる面があるものの、結局決算の正確な数字は会社内部の人にしかわからず、またその数字がどこをもって投資家たちの期待以上に相当するかよくわからないからです。

したがって、決算に自信がないときにはポジションを持ち越さないというのも有力な手です

期待外れに乗じた過剰な売り攻撃

決算直後の株価を観察していると、悪くない決算の割に株価が下がりすぎではないかと思うことが多くあります。これには大口の売り浴びせと個人投資家の狼狽売りが絡んでいることが疑われます。

たとえば、ある企業が決算を発表したとします。それは数値としては上々であるものの事前に予想された水準の決算だったため、決算後数日で株価は5%ほど下落するのが客観的には妥当だとします。

しかし、機関投資家の中には「本来は5%の下落が妥当かもしれないが、ここで過剰に売りを出せば個人投資家は狼狽売りを連鎖的に行うので15%以上の下落が見込める。その過度に安くなったところで買えば(買い戻せば)儲かる」と考える機関もいます。

つまり、機関投資家は売買単位が大きいため、皆の失望につけこんで周囲の売りを加速させる売買ができるというわけです。とくに空売りができる銘柄で買い残の方が圧倒的に多い銘柄は狙われやすいです。

これでわかる決算に際して投資家が備えるべき基本

 

保有銘柄が過剰に売られるとショックだけど
もっていない銘柄でこれが発生して下がり切ったときには
チャンスかもしれない。

信用取引の買い残が多い銘柄について株価が大量の空売りで大きく下げられると、追証からの損切りに迫られる人が連鎖的に発生するからです。そして追証の投げ売りが終わると、それを悔しがらせるかのように株価が上がっていくこともしばしばあります。

この類の売り仕掛けは、期待外れの決算に限らず悪い材料が発生したとき全般で見られます。ひどい場合には大きめの上方修正が出たにもかかわらず、それを否定するかのごとく強引に切り崩される場合もあります。

空気を読まない外資は空売りが得意

日本の金融機関は、日本国内の投資家や上場企業からひんしゅくを買うことをおそれてか、日本株に対しては空売りを強烈と呼べるほどには行いません(例外あり)。強烈な空売りには株価の下落予想と下落への願いと、株価(時価総額)を大きく下げる力が込められているからです。

一方、外資系金融は日本国内の「空気」を読まず強烈な売り圧を仕掛ける場合も少なくありません。よくも悪くもこれが外資の強みです。

これでわかる決算に際して投資家が備えるべき基本

 

空売り機関は買いのポジションも同時に
もっていることも多い。これを両建てという。

日本人社長から外国人社長へと交代した日本企業でも、その経営は型破りというか、それまで培われた企業慣習に配慮しない(空気を読まない)大改革が散見されます。

空売りの使い方

空売りはいずれ買い戻す必要がある以上、割高な銘柄に効果的ですが、資金力のある機関にとっては割安株や好決算が出た銘柄に対する株価切り崩しの手段にもなります。

本来、空売りは、株価の下落を予想して高いところで売ってから安く買い戻すというのが筋ですが、一部の機関投資家は空売りを株価下落の手段と見なしているのです。

空売りとそれに対抗する買いが大規模に入っている銘柄における攻防は、数万株単位の売買が秒単位で成立することから、まるで経済戦争のように見えます。

厳密にいうと、そういった行為は相場操縦といって違法性が疑われるのですが、現実には立証不可能だったり言い逃れが可能だったりすることが多いです。機関投資家としては「我々の売買単位はいつも大きいから下落予想として行った空売りに相場の切り崩し効果が入るのは仕方がない」と言い訳できるからです。

これでわかる決算に際して投資家が備えるべき基本

 

外資の空売りは内資の大口から借りたものだったりする。

したがって、個人投資家としてはこういう現実も知って警戒するか、彼らに便乗して空売りするしかありません。また空売りで異常な安値におさえ込まれた銘柄はその後、大量の買い戻しとともに上昇が期待できるでしょう。

決算では売上や利益の他に増配・減配や自社株買いなどに関する案内が出ていないかも確認しましょう。次はキャッシュフローについてです。

当サイトを入門書として使う場合に次に読むべき記事⇒キャッシュフローの基本とそれを取り巻く考え方


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