手数料だけではない証券会社の「公平な」選び方

これでわかる決算に際して投資家が備えるべき基本

備えあれば患いなし 銘柄選び

決算前後の株価には要注意

株価を大きく左右するイベント、それが上場企業には四半期(3か月)ごとに開示が義務付けられている決算です。

普段はおとなしい銘柄でも決算直後は大きく上下することは珍しくありません。

大雑把にいうと「よい」決算が出れば株価は上向くのですが、この「よい」という意味がやっかいです。

決算は、これから述べる大まかな傾向を知っておくのとそうでないのとでは大きく異なりますのでご注意ください。

決算の発表日は企業サイトのIR情報を見ればすぐにわかるね。
でも何時に発表するかは企業によって違う。ザラバに発表する企業もあれば、引け後に発表する企業もある。
以前の決算ではどちらのパターンで発表したか確認しておいた方がいいよ。
決算日に突然ザラバで株価が乱高下したのだけれど、あれはザラバ発表の決算のせいだろうね。
過去には、いつもは引け後に決算を発表していたのに、担当者が間違えてザラバに発表してしまった企業もあった。こういうのはご勘弁願いたいね。

見るべきは連結決算

原則として決算においては単独・単体決算よりも連結決算に注目します。連結決算とは、その企業の子会社や関連会社も含めた決算のことです。

単独決算しか見当たらない場合は単独決算を見れば基本的には大丈夫です。ただし、グループ傘下の上場子会社の決算を見るとき、グループ本体の決算も参考にすべき場合もあります。

かつての日本では親会社の単独決算が重視されていたため、親会社と子会社の間のやり取りによって利益が操作されていました。

しかし、その後、欧米市場の影響を受けて連結決算が主流となりました。連結決算ではグループ会社間の取引や利益は消去されます。

ちなみに日本では親子上場といって、親会社の上場に加えて子会社も上場している例が散見されます。

たとえばNTTグループにおいては、本体の日本電信電話に加えてドコモとデータと都市開発が上場しています。

そしてそのドコモやデータもまた子会社をいくつももっています。

親会社は子会社を上場させその子会社株式を売り出せば大きな資金を調達できるというメリットがあります。

しかし、子会社の筆頭株主は親会社であり、子会社の経営においては筆頭株主以外の意見が反映されにくいという声があるため、現代では減少傾向にあります。

親子上場はいろいろ深い論点なのかも。

決算を予想しよう

さて保有銘柄の決算日が迫ってきた投資家は、いかなる決算が出そうなのか証券会社や経済紙・専門家の予想情報を調べるべきです。

さらに企業側がいかなる業績予想をしているかを調べます。

このとき企業によっては控えめな予想をする企業もあれば強気な予想を出す企業もあるので、企業の予想傾向をつかむべきです。

たとえば、輸出系の大企業だと為替が1円変動しただけで数十億円以上も利益が変わりますので、そういう企業は業績の下方修正によって大勢の株主をがっかりさせないように控えめな予想をする傾向があります。

新興企業の中には強気の予想を出すところもあるよ。

期待を超える決算か否かが重要

一般に企業の従業員は自社の決算が増収増益で、それによって経営が安定し自分の賃金が上がれば喜ばしいでしょう。

投資家としても売上と営業利益(業種によっては経常利益)の良し悪し(前期比増減率)を見るのは基本です。

しかし、株式投資家は決算の評価を数字の大きい小さいではなく「期待以上のものか否か」で判断する傾向にあります。

スポーツの世界でも大して期待されていない選手がちょっとした活躍を見せると褒められる一方で、もともと大きく期待されている選手がそれと同じ水準の活躍をしても褒められないどころか酷評されることがあるでしょう。

会社の決算もそれと似たようなもので、投資家にとって事前にどの程度期待されているかが重要なのです。

したがって、期待が大きかった企業はその期待を超える決算を出さなければ株価は厳しいことになりますし、大して期待されていなかった企業が標準レベルの決算を出した場合はむしろ株価が上がることもあるのです。

具体的には決算直前まで株価やコンセンサス予想(=複数のアナリストによる決算予想)が上がっていれば期待のハードルは高いといえるでしょう。

会社や公務員でも東大卒業者やMBAホルダーへの期待のハードルは高いと感じた。
芸能界や政界でも血筋は大物2世で華々しくデビューしたのに、実力はアレ?ってことですぐに消えた人もいる。どの業界でも人間の評価は事前の期待度によって変わるんだろうね。

業績予想でも「将来」が重要

ここで強調すべきは業績予想でも「将来」が重要だということです。

たとえば、今が2019年5月だとして、ある企業から2019年3月期通期決算の営業利益が前年比70%増で確定したと同時に、2020年3月期通期決算の営業利益が2019年3月期に比べて30%減る見通しだと発表されたらどう思いますか。

2019年3月期の決算は営業利益70%増と非常に素晴らしいですが、近い将来30%も減ると予想されたら失望しませんか。

株価を左右する要素は他にもあるので絶対とはいえませんが、その決算と見通しだけを見ると翌日の株価は大幅に下落する可能性が高いです。

株価は将来を織り込もうとする先行指標なので、それまでの業績がよかったとしても将来に対する悪い予想は失望されやすいからです。

なお企業は、四半期決算において当期の通期予想は出しやすいものの、通期決算における来期の業績予想については出す場合と出さない場合がありますので、四半期ごとに過去のパターンをチェックしてみるとよいでしょう。

来期の業績予想を出すとしたら通期決算のときだけど
それを出さない企業もある。
上方修正

決算に際して上方修正が出されると株価の上昇が期待できます。上方修正とは、それまで予想されていた当期の通期業績の数値を引き上げることを意味します。

下方修正はその逆です。上方修正は、一年度につき4回ある四半期決算の中でも後半に出ることが多いです。

上方修正は進捗率という通期の業績予想に対する1四半期ごとの利益達成率を見ることで多少は予想できます。

すなわち四半期は通期の25%ですから、たとえば第2四半期の時点で70%という進捗率が出ていれば上方修正が出る可能性は高まるわけです。

ところが、企業によっては需要の季節変動や納期の偏りなどによって進捗率を25%ごとに均等に考慮すればよいとは限らないパターンがかなりあります。

そういう企業の場合は前年度のデータなどから進捗率の偏りを考慮する必要があります。

2018年ではそれなりの上方修正が出ても、地合い(市場全体の状態)の悪化も影響したためか決算後に株価が急落するというパターンも多く見られます。
決算は自然現象から多少予想できる部分もある

また鉄道業や観光業などでは基本的に天気がよいほど多くの集客と売上が見込めますので、天気がよくないと決算に悪影響が出るかもしれない点に注意です。

この点、室内レジャーの運営会社だと逆に悪天候の方が大きな利益が出るという場合もあります。

このように自然現象や企業特有の性質も考慮しながら決算を予想することも株式投資の楽しみの一つだといえるでしょう。

決算前後の動きではないのですが、参考までにいうと2018年に巨大台風が上陸した直後はインバウンド関連銘柄の株価がやや大きく下がりました。

日本の自然環境は厳しい→外国人観光客が訪れなくなる→インバウンド需要が下がる→それを大きくあてにしている企業の業績は下がる、という連想が将来を見越して(=四半期決算が出る前に)作用したからです。

決算またぎはギャンブルか

決算をまたぐ形で株式を保有することが巷では「決算ギャンブル」と呼ばれるのも、決算はさまざまなデータから推測できる面があるものの、結局決算の正確な数字は会社内部の人にしかわからず、またその数字がどこをもって投資家たちの期待以上に相当するかよくわからないからです。

したがって、決算に自信がないときにはポジションを持ち越さないというのも有力な手です。

決算を持ち越すのはこわいな。
決算が期待されている銘柄は決算直前までの思惑上げ(=決算はいいだろうから今のうちに買っておこうという期待の買い)の期間を利用して稼ぎ、そして決算は持ち越さないというのも有力なやり方だ。
その理論でいうと、決算前に明らかに下がっている銘柄は決算が期待されていないということだから持ち越すのは気楽かも。
期待外れに乗じた過剰な売り攻撃

決算直後の株価を観察していると、悪くない決算の割に株価が下がりすぎではないかと思うことが多くあります。これには大口の売り浴びせと個人投資家の狼狽売りが絡んでいることが疑われます。

たとえば、ある企業が決算を発表したとします。それは数値としては上々であるものの事前に予想された水準の決算だったため、決算後数日で株価は5%ほど下落するのが客観的には妥当だとします。

しかし、機関投資家の中には「本来は5%の下落が妥当かもしれないが、ここで過剰に売りを出せば個人投資家は狼狽売りを連鎖的に行うので15%以上の下落が見込める。その過度に安くなったところで買えば(買い戻せば)儲かる」と考える機関もいます。

つまり、機関投資家は売買単位が大きいため、皆の失望につけこんで周囲の売りを加速させる売買ができるというわけです。とくに空売りができる銘柄で信用買い残の方が圧倒的に多い銘柄は狙われやすいです。

保有銘柄が過剰に売られるとショックだけど
もっていない銘柄でこれが発生して下がり切ったときには
チャンスかもしれない。

信用取引の買い残が多い銘柄について株価が大量の空売りで大きく下げられると、追証からの損切りに迫られる人が連鎖的に発生するからです。

そして追証にともなう投げ売りが終わると、それを悔しがらせるかのように株価が上がっていくこともしばしばあります。

この類の売り仕掛けは、期待外れの決算に限らず悪い材料が発生したとき全般で見られます。

ひどい場合には上方修正が出たにもかかわらず、それを否定するかのごとく強引に切り崩される場合もあります。

空気を読まない外資は空売りが得意

日本の金融機関は、日本国内の投資家や上場企業からひんしゅくを買うことをおそれてか、日本株に対しては空売りを強烈と呼べるほどには行いません(例外あり)。

強烈な空売りには株価の下落予想と下落への願いと、株価(時価総額)を大きく下げる力が込められているからです。

一方、外資系金融は日本国内の「空気」を読まず強烈な売り圧を仕掛ける場合も少なくありません。よくも悪くもこれが外資の強みです。

日本人社長から外国人社長へと交代した日本企業でも、その経営は型破りというか、それまで培われた企業慣習に配慮しない(空気を読まない)大改革が見られます。

外資系金融機関が空売りを好むのは、単純に売りから入る方が大きな利益が得られると見なしているからなのかもしれません。少し前に空売りには「下落予想と下落への願いが込められている」と述べましたが、それは昨今の地合い(=相場全体の雰囲気)を考えると、意外と感情抜きの冷静な行動だというわけです。

空売り機関は買いのポジションも同時に
もっていることも多い。これを両建てという。
両建ては下手をすると、買ったら下がり、売ったら上がるという踏んだり蹴ったりの状態にあうよ。これは俗に「往復ビンタ」と呼ばれているね。
空売りの使い方

空売りはいずれ買い戻す必要がある以上、割高な銘柄に効果的ですが、資金力のある機関にとっては割安株や好決算が出た銘柄に対する株価切り崩しの手段にもなります。

本来、空売りは、株価の下落を予想して高いところで売ってから安く買い戻すというのが筋ですが、一部の機関投資家は空売りを株価下落の手段と見なしているのです。

空売りとそれに対抗する買いが大規模に入っている銘柄における攻防は、数万株単位の売買が秒単位で成立することから、まるで経済戦争のように見えます。

厳密にいうと、そういった行為は相場操縦といって違法性が疑われるのですが、現実には立証不可能だったり言い逃れが可能だったりすることが多いです。

機関投資家としては「我々の売買単位はいつも大きいから下落予想として行った空売りに相場の切り崩し効果が入るのは仕方がない」と言い訳できるからです。

外資の空売り株は内資の大口から借りたものだったりする

したがって、個人投資家としてはこういう現実も知って警戒するか、彼らに便乗して空売りするしかありません。

また空売りで異常な安値におさえ込まれた銘柄はその後、大量の買い戻しとともに上昇が期待できるでしょう。


決算では売上や利益の他に増配・減配や自社株買いなどに関する案内が出ていないかも確認しましょう。次はキャッシュフローについてです。

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