証券会社の公平な選び方【手数料以外にも注目】】

低PERだったり業績が悪くない場合に株価が上がらない理由

考えるほど悩ましい 仕組み・注文
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業績が悪くても株価が上がる場合もある

業績が悪い銘柄の株価が下がっていくことは自然に見えるとしても、業績がよい、あるいは低PERなのに株価が芳しくないのはなぜだと考える人は多いでしょう。

その原因として考えられそうなものを解説します。

逆に業績が悪いとしてもテーマ性や流行が見込まれて買われる銘柄もある

(1)成長面に不安がある

たとえば、前の四半期決算で売上1500億円・営業利益250億円だった企業が、今回の四半期決算では売上1400億円・営業利益220億円と発表されたらどう思いますか。

おそらく株価は下がります。売上1400億・営業利益220億というのは絶対値としては悪くないですが、前よりも下がっていることに変わりないからです。

投資家というのは投資先の将来性をとても重視します。

そのため業績が下落基調にあると、絶対値としては悪くなくても売る傾向があります。これは高成長率を誇っていた企業の成長率が鈍化したときにも見られます。

逆に前の四半期決算で売上30億円・営業利益2億円だった新興企業が、今回の四半期決算では売上40億円・営業利益3億円と発表されたら、おそらく株価は上がります。

絶対値としてはさきほどよりもかなり低いですが、業績は成長基調にあるからです。投資家は業績・決算を以前との比較で見るべきなのです。

業績がよくなかったとしても、決算と同時に自社株買いが発表されると、好材料と悪材料で株価はどちらに動くかわからないという場合もあります。

また悪材料や好材料が決算前に織り込み済みだと、それはそれで予想は難しくなります。

あと、決算は数字がよい悪いというよりも事前の期待を上回るか否かが重要です。

(2)利益の割に配当が低い

一般に新興企業は利益額・利益率が低い場合が多いですし、たとえ利益が出ていても成長の原資に使いたがりますから配当は低いか無配です。こういう小規模で若い銘柄は空売りもできない場合が多いです

一方、東証1部の企業、とくに大企業は安定的な利益が出ている企業ばかりです。普通、投資家は投資先が大きな利益を出しているなら配当もそれなりに出すものと期待します。

にもかかわらず配当が低いと株主は失望します。それに空売りにおいては権利日を持ち越す際には調整金を支払わなければなりません。つまり、配当が低いほど空売りのコストも安くなるのです。

そのため皆の失望に乗じて空売りを大量に仕掛けて株価を抑え込んでくる勢力がいたりするのです。

(3)流行に乗っていない

⇒たとえば音楽や出版物の世界では内容はよいのにあまり売れていない、逆に内容はあまりよくないのに売り込みが上手かったり流行に乗っているがゆえに売れている作品があります。

流行のアイドルはそんな感じかな。

そして、前者のような不遇な作り手・作品でも有力メディアが取り上げると急激に売上が上がったりもします。

同じように株の世界でも取り上げるほどの銘柄ではないのにメディアやSNSで煽られて急騰する銘柄があったり、逆に会社の業績や事業内容は優れているのに露出が少ないために株価と出来高は振るわない、という現象が散見されます。

基本的に流行に乗っている企業はそれまでの時期よりも出来高が格段に増えており、ストップ高を見せたり、直近において年初来高値や上場来高値を更新していることが多いです。

流行の銘柄は廃れるのも早かったりしますから注意が必要です。

(4)業務が将来のテーマや時代の国策に乗っかっていない

⇒(3)と重複しますが、大きく上がりそうな業種は2019年でいうと、仮想通貨、AI、5G、電気自動車、省力化など将来性を感じさせるものが多いです。

逆にそういった時代のテーマとハズレる銘柄は、今の業績が好調でも将来が悲観されて株価が伸びないことがあります。

かならずとは言い切れませんが、株価が大きく上がるには「将来的にこのテーマは盛り上がるから、それに関連しているこの会社も伸びる!」というような思惑が必要です。

(5)ビジネスモデルが見えにくい

⇒たとえば、小売業は商品を仕入れて売るというだれの目にもわかりやすいB to C型のビジネスモデルです。

B to CとはBusiness to Consumerの略で、企業と個人消費者との間の取引を意味します。それとは対照的なのがB to Bで、これはBusiness to Business、企業と企業との間の取引を意味します。

B to Cの業種、とくに小売業では本社や裏方はわかりにくくても店舗の様子はわかりやすいものです。

また小売業は月ごとに売上や客数、客単価、店舗数などを発表していることが多いです。それは決算ほど細かくないのですが大まかな動向はつかめるのでそのたびに株価が動きます。

ところが企業の中には事業が多角化しすぎたり、B to B型でマイナーな事業を営んでいるがゆえに外部の人間にはどんなビジネスモデルなのかわかりにくい企業があります。

たとえばRという巨大複合企業(コングロマリット)においてb事業やc子会社はよいのに、d事業やe子会社はよくないという形で評価されて株価が今一つ伸び悩むことがあります。

コングロマリットは評価が難しい。
有望な事業と稼げない事業が同居していたりするから。
電機大手のSとかITサービス大手のRはそんな感じだね。

企業のウェブサイトを見たときに一貫性のない多様な事業を営んでいるように見えたら、それに当てはまる可能性が高いです。さまざまな事業を手掛けている総合商社もこれに近いものがあります。

しかしながら、多角的な事業が会社内でシナジー(相乗効果)を生むことで業績が飛躍的に伸びる場合もありますので単純に決めつけられないものがあります。

(6)社会に大きく揺さぶられる自動車本体メーカー

自動車業界は産業のすそ野がとても広く、イギリス以外の先進国には自動車本体製造の大企業があります。

しかしというか当然というべきか、自動車本体製造メーカーのPERは基本的に低いです。

自動車メーカーの株価が伸びにくいのは

  • 為替リスクが大きいこと
  • 電気自動車や燃料電池車の未来がまだ楽観視されていないこと
  • 人口減少とシェアリング拡大によってとくに先進国では自動車の台数が減りそうなこと
  • 貿易戦争のターゲットにされやすいこと

などが原因としてあげられます。

電気自動車や燃料電池車は自動車本体の製造だけでなく各地にインフラも必要ですから急速な普及は難しいといわれています。

また現行のガソリン車については、途上国で環境規制が厳格化されたり鉄道が整備されたりすると販売台数が低迷するかもしれません。

(7)昔と変わらない成熟したビジネス

立川駅に停車中のE353系あずさ号

⇒建設業、鉄道業、電力業、金融業のように昔から存在する業種の大手は収益を手堅く稼ぎ出しています。しかし、その株価は割安水準に止まることが多いです。

これは新興業種・新興企業のような将来の大化け期待が見込みにくいという理由が大きいでしょう。

インフラ関連業の利益は今も昔も、そしておそらく将来も手堅いですが、かといって将来において需要が爆発的に上がることは考えにくいです。

金融業の低PERは国の政策がマイナスに見られているのかもしれません。

また、鉄道会社や電力会社は新たなインフラをつくったり自然災害が起きたときには大きな支出が求められます。

この点、建設銘柄は復興需要と直結しているため、天災後でも株価はあまり下がらないかもしれません。

ただし、近年の上場鉄道会社は沿線の不動産業や小売業にも力を入れてグループとして総合的な収益の底上げを図っている場合が少なくありません。こういう場合、PERがやや高めになる銘柄もあります。

最近はJR東がエキナカに力を入れているね。立地条件が有利すぎる。
私鉄は昔から総合開発会社みたいな感じで、沿線のバス路線と小売りと不動産と娯楽にも力を入れてきた。

(8)景気敏感株(景気循環株)

⇒鉄鋼、ガラス土石、ゴム、化学素材といった銘柄が景気敏感株に該当します。一説には半導体や自動車産業もあてはまるといわれています。

この類の株は景気循環株とも呼ばれ市況の上下に大きく揺さぶられやすいです。これは好況時には商品が多く売れますが、不況になると需要と業績が一気に低迷するのです。

たとえば、大手自動車メーカーは平時や好景気時には数千億円以上もの営業利益を出しますが、その一部はリーマンショック後には一時的に赤字に陥りました。

投資家はこういう荒波を警戒するのでPERは低くくなりやすいというわけです。天然資源の売買を収益の柱とする総合商社も市況の激しさが警戒されやすいです。

しかし、ただ単純にありふれた素材を売買するという形だと市況に影響されやすいですが、半ば製造業のように素材に特殊な加工を施した素材関連業だと、製造者側が価格を自主的に決定できる割合が大きくなる場合もあります。

たとえば鉄鋼業でいうと、特殊鋼は通常の鉄にさまざまな元素が加えられており耐久性の点で高い付加価値があります。

(9)単発的なビジネス

⇒たとえばITやバイオ産業の場合、企業が画期的な商品を発明し、それが特許で守られたり世界市場で優位に立てれば継続的な収益が見込めます。

しかも少人数のエリートが開発した商品で、それに伴う製造コストや運営コストが多くかからなければ従業員数の割に大きな利益を継続的に出すことができます。

またIT産業は他の業界と提携した事業、たとえばフィンテックや自動車の自動運転のように社会をよりよく変えて収益を稼ぎ出す余地がまだあると考えられます。

こういう期待が強いとPERは多少高くてもなお株価が伸びる可能性があります。

検索エンジンの最大手であり、ネット広告を自動化しているGoogleはIT勝ち組の典型だね。

これとは対照的に、たとえば不動産販売業の場合、一定数のサラリーマンが一つずつ物件を開拓しては顧客に売り込むというように利益率や成長率はいつも一定範囲に止まりやすいのです。これが「単発的」の意味するところです。

不動産販売会社は投資や金融も絡ませて副次的な収益も上げようとしますが、それでもこういう銘柄は爆発力に欠けるため、PERが低めになりやすいというわけです。

また不動産ビジネスは人口が増えている国・都市でこそ需要の増加とともに成長しやすいものです。それが楽観視しにくい日本では不動産業はPERが低めにならざるを得ないと考えられるのです。

IT業界のPERは基本的には高めだよ。例外としてインフラ業としての性質が強い大手携帯キャリアは低め。
(10)重大な不祥事をしでかした企業

⇒汚職、データ改ざん、商品偽装、欠陥商品、粉飾決算、内紛、大事故などといった不祥事をしでかした企業は、たとえ現在の業績がよくても、会社の将来やイメージ、積年の体質が悲観視されて株価が停滞しやすいです。

グループ企業や提携先から守られて株価が持ち直す場合もありますが、そのまま停滞することもしばしばです。

ただし、企業を長年経営していると少々の不祥事が出てくるのは仕方がない、あるいは自然ともいえます。多くの人間が関わりながら企業を存続させている中で、何も不祥事が発生しない方がむしろ不自然ともいえるからです。

また組織ぐるみで意図的にやらかした不祥事と、特定の従業員や不可抗力によって発生した不祥事とでは前者の方が重いでしょう。

そしてもっとも重視すべきはその不祥事が発覚した後、企業がいかなる対応をとるかではないでしょうか。

悪材料が一時的なものであるならば買うに値するかもしれませんが、中長期に及ぶようなら買わない方がいいでしょう。

今話題になっている不祥事銘柄を買おうかな。
不祥事銘柄はタカタのように破綻・上場廃止したものもあればオリンパスのように大復活を遂げたものもある。だから買い場と見る人もいるけど底値がわかりにくい。
(11)政府の規制改革が業績悪化につながりそうな企業

⇒一般に政府が規制を緩和すると収益が上がる企業と下がる企業が出てきます。

基本的に規制緩和は新規参入者にとっては収益拡大の機会になりますが、既存業者にとっては自社の収益が減る契機になるからです。

また政府の規制は朝令暮改にしないのが原則なので、改革の影響は中長期に及ぶ場合も多くあります。政府が規制をたびたび変えたら安定感がなくなるので中長期に及びやすいのです。

日本では将来起きそうなパターンも含めると、医薬品のネット販売、ライドシェア解禁、民泊などがあげられます。

このとき現在の収益がよくても将来の収益が下がりそうな会社には投資しない方がよいかもしれません。

また政府の規制とは異なりますが、中小・新興企業が有力な大企業から特許や営業表示に関して提訴されると前者の株価は下がりやすいです。

規制緩和でウチの会社の利益が減りそう。
規制緩和は投資家や既存業者にとっては大問題でもそこで安い価格が実現すれば消費者にとっては喜ばしい。
(1)~(11)に当てはまらない銘柄は買いか

それでは(1)~(11)に当てはまらない銘柄、たとえば新興のバイオ銘柄やIT関連株を買い漁ればよいかといえば、単純にそうとも言えません。この類の銘柄は上に行く爆発力も大きいですが、下に行く爆発力も大きいからです。

その財務を見ても「継続企業の前提に疑義あり」という会社が散見されます。これは会社の業績や財務に大きな問題があることを意味します。こういう銘柄は会社が倒産したり上場廃止にされたりするリスクがあるので注意すべきです。

また期待できそうな新興銘柄は、上場してすぐにPERが高めに達するというパターンが多く割高感があります。

とくに〇〇ショックというような地合い悪化が株式市場に襲いかかってきた場合、先に売られやすいのは割高感の強い銘柄です。

株式市場は効率的市場仮説が多少なり作用しているため、そう簡単によい銘柄に出会えないのです。

しかし、それでもファンダメンタルズとテクニカルと外部環境を粘り強く分析していると、たまによい銘柄が見つかるはずです。