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板情報をもとにした実践的で基本的な売買

厚い薄い 仕組み・注文

まずは板情報を見てみよう

株式投資でだれもが見る株式市場の注文状態が板情報です。

ここでは現値(現在の株価)が500円の架空銘柄Fを使って板情報を見ていきましょう。

証券会社によって多少のズレはありますが、基本は以下のとおりです。

F社という架空銘柄の板情報(ザラバ)

証券コード
0000F社
現値↓500
前日490 +10
+2.04%
始値501
高値504
安値500
売数量 気配値 買数量
☆☆☆☆ 成行 ★★★★
250700 OVER
2600 510
3000 509
4300 508
23700 507
4100 506
2900 505
2700 504
5500 503
2900 502
2400 501
499 1800
498 3300
497 2800
496 4100
495 5700
494 3800
493 2000
492 3100
491 5200
490 7200
UNDER 102300

※表の501から510は売りの指値注文の株価(単位:円)で、499から490は買いの指値注文の株価を意味します。

※表中のUNDERとは、489円以下の買い注文の合計数で、OVERとは511円以上の売り注文の合計数です。多くの銘柄ではOVERの方がやや多いのが普通なので、それが逆転していたら短期的には注目に値するかもしれません。

※+10と+2.04%は、現値が前日終値よりも10円(2.04%)高いことを意味します。

株価は買い手と売り手に対応にする

さて、Fに限らず金融商品の売買においては基本的に買い手はなるべく安く買いたいという欲望をもっています。同じように売り手はなるべく高く売りたいという欲望をもっています。その方が収支はよくなるからです。

そこでは現値を基準として買い数が多ければ株価は上がっていき、逆に売り数が多い株価は下がっていきます。上場株の価格体系は時価なのです。

たとえば表のようにFを500円で買いたいという人がだれもいないときに、すぐにFを売りたいと考えた人が売りの成行注文を出すと、Fは499円で売れるとともに株価は1円下がるのです。

このときの売り注文が大量だと一気に2円以上、下がります。499円の指値の買い数量は1800株だけだからです。株式市場では買い手と売り手が対応しているのです。

価格優先の原則

ここで覚えていただきたいのは価格優先の原則です。

これは買い注文では高い価格が低い価格よりも優先され、逆に売り注文では低い価格が高い価格よりも優先されるという原則です。

この原理の下では、499円の買い注文よりも500円の買い注文が優先し、501円の売り注文よりも500円の売り注文が優先されるのです。オークションや競りを知っている人なら直感的にすぐわかるでしょう。

ヤフオクでは出品者が下げない限り価格は下がらない。
でもザラバでは株価は刻々と上下する。

時間優先の原則

ここでFを490円で買いたいと考えて指値注文を出して、その後490円まで株価が下がったとします。

しかし、指値注文の約定は同じ価格においては発注時刻の早い人が優先されますから、売買の数量によっては自分よりも早く注文した人だけが約定して自分は約定しない可能性もあります。これを時間優先の原則といいます。

板寄せ方式

次に知っていただきたいのは、証券取引所の売買成立方法には板寄せ方式とザラバ方式の2つがあるということです。

板寄せ方式は原則として相場の取引開始前と終了時に使われる方式です。板寄せ方式のもとでは始値がつくまでに送信された注文は同じ時間に行われたとみなされますので、時間優先の原則は適用されません。

そこではまず成行注文の売買成立を優先させ、次に高い買い注文と安い売り注文の約定がするように処理し、株価を決めていきます。

冒頭の図表の成行注文の横には☆★が表示されていますが、取引開始前の板寄せ方式においてはそこに成行注文の数量が表示されます。

この板寄せ方式は実際にご自身でボードを開いて見た方理解しやすいと思いますので、ぜひ証券口座を開設してログイン先で朝8時~9時前くらいに板寄せ方式の様子をご覧になるとよいと思います。

ザラバの板情報だけで株価を読み解くことは難しい

次にザラバ方式についてです。ザラバはザラ場ともいい、寄付(その日最初に成立した売買)と引け(その日の最後の売買)の間の取引時間を意味します。ここでは価格優先の原則と時間優先の原則が両方とも適用されます。

ここまで文字で読むとちょっと難しかった思いますが、要するに板寄せ方式は成行注文優先のオークションで、ザラバ方式は成行注文と指値注文が入り交じったオークションです。

ただし、厳密にいうとザラバ方式が別名オークション方式と呼ばれているように、ザラバ方式の方がオークションに近いです。

板情報は参考になるか

さて、ザラバに板情報をご覧になると銘柄ごとに買い数と売り数がわかりますが、それは指値という売買価格を指定した注文だけが表示されるのであって、成行注文は寄付前や特別な状況でないと表示されません。

ザラバの成行注文は、値幅制限になっていない限り、注文すればすぐに成立するのです。

また、成行注文はどのタイミングでどれだけの数量が入るかは当人以外はわかりません。さらに指値注文の状況は刻々と変わるため、ザラバの板情報だけで株価の行方を予想することは難しいのです。

見せ板という違法行為

さて、筆者としては冒頭の図表に一点だけ違和感をもっていただきたいと思っています。

それは507円における売り注文の数です。他の価格の売買注文数よりも飛びぬけて多いと思いませんか。これは見せ板の可能性が疑われます。見せ板とは、実際に売買する気がないのに売買注文を出しておくことです。

500円や450円など下一桁がきりのいい数字ではそもそも皆の注文が集まりやすいです。

見せ板の注文者は507円では売る気がないので自分の注文価格が迫ってきたら自分の分の注文を取り消します。

つまり、売り板に大きな注文があると買い手は株価が上がるのは難しいと思って買う意欲を失ってしまうため、威圧的な売り注文を出すのです。

売りにおいて見せ板を行った者は、その株を安く買い集めたり、空売りを安いところで買い戻したりするために株価を安くおさえたがっているわけです。

このように見せ板は、安く買いたい、あるいは高く売りたいという欲望から発生します。見せ板は株価の公正な形成を歪ませるので違法です。

しかし、見せ板に見える注文でも大口が本当に売買の意思をもって発注しているかもしれませんし、小口の注文が偶然重なったとも考えられます。

また誤発注の可能性も考えられます。それゆえ見せ板は言い逃れが可能といわれますが、悪質な場合は処罰される可能性もありますので行わないようにお願いします。

大口の投資家が出来高が少ない銘柄を避けやすい理由

次に下の板情報をご覧ください。
G社という架空銘柄の板情報(ザラバ)

証券コード
****G社
現値↓500
前日490 +10
+2.04%
始値501
高値504
安値500
売数量 気配値 買い数量
☆☆☆☆ 成行 ★★★★
12700 OVER
200 520
300 517
100 516
300 513
400 511
200 510
200 507
500 505
200 504
100 501
499 100
496 300
493 200
492 400
488 500
486 300
484 200
483 100
481 200
480 200
UNDER 9300

上の板情報は価格帯はさきほどとほとんど同じですが、売りも買いも注文数が明らかに少なく、また指値の価格が1円刻みになっていないことがわかります。このような状態は俗に「板が薄い」と呼ばれます。

こういう銘柄は発行株数が少ない場合が多く、東証2部や地方の証券取引所の銘柄ではよく見られます。

結論からいうと、こういう銘柄は大量の売買に向いていません。

たとえば、このG社株を自分1人だけで1万株も保有していたところで、急にすべてを売りたくなった状況を思い浮かべてみてください。

ところが、そうはいっても指値で見えている売り注文は100株や300株ばかりなので、ここに大量の成行売り注文を出すと株価は自身の注文だけで大きく下がってしまいます。これでは現値付近ではそう簡単に売り払うことができません。

もし自身の大量の買い注文で株価を大きく上げることができたとしても、その高い価格と多い数量に対応した買い注文(=他人の注文)が少なければ下の価格でしか売ることができません。

この点、さきほどのF社株なら売りも買いも数千株ずつあるので1万株レベルの注文にも対応できるというわけです。

つまり、発行株数と出来高が少ない銘柄(新興株や中小株に多い)への集中投資は投資規模が多い人にとっては難しいのです。

そのため投資規模が大きい人は大型株や中型株など出来高がそれなりに多い銘柄を主戦場にするのが普通です。

時価総額が低い銘柄でも、たとえば流行になっている新興バイオ株は出来高がものすごく多かったりするよ。
F社とG社ではボラティリティにも差がある

F社は板が厚い一方で、G社は板が薄いことが特徴的でした。基本的にそこでの株価の動き方はF社は鈍く、G社はボラティリティ(値幅)が大きいです。

なぜならF社は買い注文も多いですが売り注文も多いので(すべて1円刻み)Fは動きが鈍くなりやすいからです。

逆にG社は売りも買いも少なく、さらに売買注文が1円刻みに数多く入っていないので、上がるときも下がるときも一気に動きやすいのです。


これで基本的な買い方については終わりです。次からは章が変わって売りのタイミングについて見ていきましょう。

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