株式投資とギャンブルの収支面での違い

お金の使い方に悩む人

単発的に獲得する収支観と連続的に増やす収支観

ギャンブルでも株式投資でももっとも重視されるのはその収支でしょう。

ここでギャンブルの収支を1日単位で見ると、たとえば5万円を投じて6万円が返ってくれば収支はプラス1万円になります。

しかし、それは1レースや1回転という細分化した形で見るとハズレ(賭け金は没収)か当たりにすぎません。そこでは当選額・当選確率やオッズが事前に公開されていることが多く、勝負が始まると賭け額を変えることはできません(購入した時点で取消不可の場合あり)。また、ひとたび出現した当たりやハズレも覆りません。

それは1回目1万円を投じてハズレ、2回目3万円を投じて×2倍、3回目1万円を投じてハズレ、計1勝2敗でプラス1万円というように、試行の積み重ねがそのまま収支となります。

株式投資とギャンブルの収支面での違い

 

パチンコの1玉1玉は結局ハズレか当たりかにすぎない。

ギャンブルでは一試行ごとに当たりの獲得を祈る傾向があるのです。その意味では宝くじもギャンブルです。ただし、レース系のギャンブルや麻雀、パチンコ・パチスロでは技術介入によって勝率が上がるとされていますから、究極のギャンブルは技術介入が存在しない宝くじといえるかもしれません。

確率論の常識

本来、数学にいう試行とは、出目に偏りがないサイコロを振り続けた結果など同じ条件下で同じ確率で起きる事象の反復的な試みを意味します。

そこでは1回目も2回目も100回目も1が出る確率は1/6であるように、1回目とN回目の結果はたがいに独立的(=影響しあわない)です。宝くじやスロットマシンなど機械による抽選が柱となるギャンブルもそれと同じようなものです。

株式投資とギャンブルの収支面での違い

 

1が連続した後でも1が出る確率は1/6だ。

一方、株式投資では株価が下がれば買いが増え、上がれば売りが増える(逆パターンも多くあり)、あるいは政治が安定していれば株価が上がり、そうでなければ下がるという抽象的で複雑な現象といつも隣りあわせです。

常識的に考えると価格は低いときの方が需要が大きいです。しかし株価が勢いよく上がると、その上昇に便乗して儲けたいという人が続出します。そのため株価が上がるとともに需要が減るどころか増えるというパターンもあるわけです。

プラスとマイナスを行き来することもある

以上は機械系ギャンブルでは見られない複雑性です。そこでは当たりやハズレという確定的な概念が希薄で、保有株の評価額はプラス圏とマイナス圏を行き来することもあります。

また場合によっては同値撤退もありですし、空売りを使えば下げ相場でも稼ぐことができます。

株式投資では保有銘柄を売らない限り(空売りは逆)、評価額が変動することはあっても収支は確定しないのです。これでは試行という概念が成り立ちません。

ギャンブルは一獲千金に適している

なお元手が少ないとき、たとえば30万円である場合、億万長者をめざす方法として妥当なのは、ギャンブルでは宝くじや競馬などの当選確率がきわめて低い当たりを獲得することですが、投資では元手を連続的に増やしていくことです。

ギャンブルでも堅実な収支を積み重ねて稼いでいる人がいるかもしれませんが、一般にギャンブルは一獲千金に適しているということです。

株式投資とギャンブルの収支面での違い

 

宝くじのテレビCMはよく見かけるけど
ネット証券のテレビCMは見かけないね。
やる層やリテラシーが違うのかな?

複利型運用の可能性

一獲千金」と「連続的に増やす」の違いは思いのほか大きいものです。実際、ギャンブラーの会話では「今回は3万円勝った」などと短期的な獲得額が強調されやすいですが、投資家の会話では「今月は先月よりも50万円増えた」などと一定期間ごとの前期比増減額が強調されやすいです。

また投資家全般の中で「ストップ高」「ダブルバガー(株価2倍銘柄)」「テンバガー(株価10倍銘柄)」という話題がよく出るように、投資家は元手に対する増減率を考える傾向があります。

株式投資とギャンブルの収支面での違い

 

テンバガーを取り切るのはとても難しい。
でも株価1.5〜2倍銘柄の獲得を繰り返しても
計算上は10倍になるよ。

このように株式投資で倍数や増減率が意識されやすいのは、株式には複利に似たところがあるからです。複利とは、元本に利息がつくと、その次は前回の「元本+利息」に利息がつくことです。

たとえば、元本100万円を金利10%で運用すると、1年後は110万円、2年後には121万円、3年後には133.1万円という具合で、2年後の増加額は100万円の10%ではなく110万円の10%である11万円になるのです。

つまり、キャピタルゲインとインカムゲインによって儲けた分を元手に上乗せできれば、資産の増減速度が上がるというわけです。上手くいくかは別にして、これが投資の魅力の一つになっていることは間違いありません。

ギャンブルと運

こうしたギャンブルや株式投資の収支を決定づける最大の要素は何でしょうか。でしょうか。

確かに運が左右する場合もありますが、表面に現れている判断要素が具体的でなおかつ多いほど運が左右する要素は薄まると筆者は考えています。

たとえば、機械任せのサッカーくじには技術介入の要素がありませんが、自分で番号を選ぶサッカーくじならサッカーの知見をもとに当選確率を少し上げることができるでしょう。サッカー選手・チームの実力は表面に現れており事前に実力の判断ができるからです。ただ、プロともなると実力は拮抗しており、選手・チームの実力は具体化できない面も多いため、勝敗・引き分けを当て続けるのは難しいでしょう。

株式投資とギャンブルの収支面での違い

 

ギャンブルは運のみで収支が決まるかといえばそうでもない。
昔のパチスロは技術介入によって収支を上げることができたし
公営競技にはマーチンゲールの法則が効かないこともない。

株式投資と運

一方、株式投資は、株価チャート、決算、会社による業績予想、配当、財務、人事、信用残、大口の保有データ、目標株価、為替、政府発表の経済統計などが公開されているなど、投資判断に必要な表面に現れている要素がとても多いです。それも数字やグラフによって示すことができる具体的なものが多いです。

厳密にいうと、そういった要素の多くは「現在よりも少し前の状態」であり、ギャンブルも株式投資もまだ到来していない時期(=未来)を予想しようとする点が難しいです。

しかし、株式投資では未来を予想するのに有益な情報がギャンブルよりも具体的で多いので、長期的(短期投資の蓄積による長期も含む)には運が左右する要素は薄まると考えられるのです。言い換えると、いいかげんな投資ほどギャンブルの要素が高まり、収支が悪化しやすいといえます。

こういった具体的な要素に加えて、時代の流行や日本社会の将来、社長の経営センスなど抽象的な要素も高度に解釈できるようになったら心強いことでしょう。

ただし、株式投資では短期的には予想だにしない企業の不祥事や〇〇ショックという市場全体の悪化によって大損を被ることもあります。こういう事例は突発性が強いほど不運だといえます。

株式投資とギャンブルの収支面での違い

 

リーマンショックは当初大したことないといわれていたが
意外と厳しいものになった。

動き続ける株価への柔軟な対応

人間はときに間違いをしでかす生き物であり、株価は複雑な動きをしますから、そういった具体的な指標や抽象的なセンスをもって投資に臨んでも、当然、予想を外すことがあります。

しかし、仮に株価上昇の予想が外れても、損切りや空売りをしたりするなど、適切な対策が取れれば立て直せる可能性もあります。失敗を認識して柔軟な軌道修正や試行錯誤ができることが投資と人間の強みなのです。

株価が上昇したら、それはそれで同一銘柄を買い増しして含み益の上乗せを狙うこともありますし、下がっても少し待っていたら上がってくるということも珍しくありません。

株式投資とギャンブルの収支面での違い

 

最近のデイトレーダーの中には
短期と中長期を分けて保有している人もいるみたい。

こうした現象は勝負が始まると賭け額を変更できず、また当たり・ハズレが覆らないギャンブルではあまり見られない柔軟性です。株式投資は、投じている銘柄について株価が上昇したら当たりで下落したらハズレ、などという単純な構造ではないのです。

当サイトを入門書として使う場合に次に読むべき記事⇒株式投資とギャンブルの世界観に関する違い


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