機関投資家の特徴を知って自らの投資に役立てよう

<友好的な握手なのか>

機関投資家の運用額は大きい

日本の株式市場は主体数では機関投資家より個人投資家が多くても、取引額ベースで見ると機関投資家の方が多いです。それゆえ株価は機関投資家の動向に大きく左右されるので、個人はその特徴を知っておく必要があります。

機関投資家とは各種の金融機関やファンド、公的機関など組織として投資する主体を意味します。一口に機関投資家といってもさまざまであり、また秘密にされている部分もあるのですが、基本的な傾向は次のとおりです。

まず機関投資家は運用する金額がとても大きいです。それゆえ時価総額が低い銘柄や発行済み株式数が少ない銘柄は、彼らが大きな金額をもって売買すると株価が大きく動いてしまいますので避けやすいです。

組織のルールや方針に縛られることもあり

運用額が大きいということは、保有数が多いということでもあるので大量の保有株を一気に売却するのは難しいとされています。とくに投資先との間で提携関係があれば、その関係性からいって簡単に売ることはできません。

公的機関についても、彼らが大量に保有している株式を一度に売ると市場はパニックになるため、そう簡単に売りさばくことができません。一方、個人投資家はよほどの富豪ではない限りすぐにノーポジ(=何も保有していない状態)にできます。個人投資家は機動的な投資ができるのです。

機関投資家の特徴を知って自らの投資に役立てよう

 

日本政府が日本株を一度に大量に売るのは難しいけど
外国政府が日本株を売るときは躊躇なくやるかもね。

機関投資家の元手は公的機関の場合、税金や保険料、そして私企業の場合、自前の資金や顧客から預かったお金です。基本的に彼らは顧客(公的機関の場合は国民)に運用に関して説明をしたり、市況レポートを示したりします。ときにはそういった市況レポートが株価を大きく動かした例もあります。

機関投資家の情報力

また機関投資家は情報力も強いです。機関には調査専門の担当者が複数おり、そこでは市況や銘柄を日々専門的に調査しているからです。ただし、彼らの情報力の優位性は基本的に大型株にあります。

今、ネット証券に口座をもっている方はログインして銘柄情報を調べてみてください。とくにQUICKコンセンサスという情報が参考になります。証券口座をお持ちでない方は日経新聞でもいいです。そこでは明らかに大型株に関する情報の方が充実しています。

大型株は株主数と時価総額が多いため、それに関する情報の需要も高いからです。投資をやっていない人としても中小企業よりも大企業の動向に興味をもっているでしょう。政界やプロスポーツ界でも大物には番記者が張り付いているように、金融機関や報道機関も大型株を追う傾向があるのです。

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新興企業とはいえメルカリやミクシィはかなり大きいよ!
東証1部でいうと中堅級の規模がある。

したがって、彼らは新興株や小型株にはさほど入れ込まないため、彼らとの情報格差は新興株や小型株の方がまだ小さいのです。

また新興企業の経営は大企業ほどよくも悪くも安定していないため、すごいサプライズニュースが突然出てくる場合もあります。

目標株価

機関投資家は顧客や市場へ向けて銘柄ごとに目標株価を示す場合もあります。目標株価とは、金融機関が示す中期的な将来における妥当な株価を意味します。レーティングや理論株価とも呼ばれ、現値より高い場合もあれば低い場合もあります。

大型株には複数の機関が一定レンジの目標株価をつけている一方で、新興株や小型株には目標株価が何もつけていないことが多いです。新興株は株主数や情報が少なかったり、経営がよくも悪くも不安定だったりするので目標株価をつけにくいのでしょう。

有力な金融機関がレーティングを大幅に変えると、それに合わせるかのように株価が大きく動くこともあります。相場操縦が疑われますが、妥当な価格を私的な意見として示しただけにすぎないので合法とされています。

目標株価は数ある投資指標の中でも参考にすべき度合いが弱いといわれています。目標株価と乖離したままの銘柄も数多くあるからです。

大量保有報告書

機関投資家に限らず一般的に上場企業は、顧客情報や自社固有の技術などを秘密にする一方で、経営状態を明らかにしなければなりません。

とくに機関投資家は市場に多大な影響を及ぼす以上、上場企業の発行済株式総数の5%を超える株を保有すると、それを報告・公表する義務を課せられています(個人でも大株主は報告義務あり)。

空売りにしても、残高が発行済株式総数の0.2%を超えると報告・公表しなければなりません。大口の投資家は手の内を部分的にさらけ出していることになります。

機関投資家の保有データは参考になるか

機関投資家は自社と顧客のお金を使って運用します。とくに顧客のお金を運用する場合、実績を上げなければ顧客に損害を与えてしまいますし、評判にも傷がつきます。

むろん、彼らとて顧客の元本を保証しているわけではありませんが、他人のお金を預かっている以上は、まともな機関投資家なら全力で運用しているはずです。したがって、優れた機関投資家の保有データや投資信託の組み入れデータは個人投資家にとって一つの参考になるはずです。

アルゴリズム取引

さて、昨今の機関投資家は取引にアルゴリズムを多用しているとされます。アルゴリズム取引とは、コンピューターによる超高速で戦略的な取引を意味します。有事の売り、割安株集め、特定の情報が出た銘柄の売買、またそれらの組み合わせなどさまざまな取引パターンがあるといわれています。

ポイントは、人間(とくに個人投資家)はいかなる銘柄を売買するか、そしていかなるタイミングで決済するか自分の裁量で決定しますが、アルゴにおいては特定の条件を満たしたときにプログラムによって機械的に、そして高速で行われるということです。

最近では個人投資家の中にもソフトウェアと独自の工夫によって高速の自動売買を行っている人がいます。将来的には個人にももっと普及するのかもしれません。

アルゴがはらむ問題

アルゴでは、単に外部環境や株価が特定条件を満たしたときに売買を自動化するだけなら問題ありません。しかし、見せ板や、相場操縦を狙ったアルゴなどは違法行為に相当する可能性が高いです。

ここで重要なのは社会はアルゴとどのように向き合うべきかです。一般的に法は、自動車や遊具が他人を傷つけたときに罰せられるのはその所有者であるように、人間を規律対象とするものです。したがって、アルゴが違法行為をしでかしたときにも所有者が罰せられるのが筋です。

しかし、アルゴが高度に進化して自立的な(自律的な)人工知能となった場合、人工知能は使用者・所有者の手を離れて自力で成長したり、勝手に想定外の売買を行うかもしれません。

機関投資家の特徴を知って自らの投資に役立てよう

 

業績も地合いも悪くないのに大口が大量に
売り出す場合がある。換金売りかな。

こうした場合、使用者・所有者や開発者は人工知能と自分は別人格なので前者(人間)に責任をとらせるのは無理があるという主張や、どこをもってアルゴによる違法な相場操縦にあたるのか、といった論争があります。

このあたりはまだ新しい問題であるため、自動車の自動運転時の事故などと並んで慎重に関連法が整備されるのかもしれません。

次は地合いや外部環境について大まかに見ていきましょう。

当サイトを入門書として使う場合に次に読むべき記事(章が変わります)⇒投資家は会社内部だけでなく地合いや外部環境も見る必要がある


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